2020.05.26

中国で急激に注目を集めるインフルエンサー“KOC”とは?

近年中国国内でのマーケティング手法として既に定着したKOL(Key Opinion Leader)はご存知の方も多いのではないだろうか。では、最近新たに注目されつつある「KOC」というものをご存じだろうか。

 

KOCとはKey Opinion Consumerの略で、専門性を持ち、多くのファンを抱えるKOLに対し、KOCはそこまで専門性を持っているわけではなく、多くのファンを持つわけではないが狭い範囲では深い影響力のある人を指す。

 

KOLは芸能人に近く、KOCはちょっと有名な一般人、と言い分けるとイメージが沸きやすいかも知れない。

 

一部ではKOCの台頭によりKOLマーケティングは終わった、と言われているが果たして実情はどうなのだろうか。

各SNSでのKOL、KOCの活用事例を用いて紐解いていく。

 

  • なぜKOCが急激に流行してきたのか

 

2019年に入り「私域流量」というマーケティングコンセプトが急上昇してきた。「私域流量」とは広告などでリーチできるユーザーである「公域流量」に対し、自身のSNSフォロワーなどで企業自身が無料でリーチできるユーザーの事を指す。

この言葉が流行った背景には中国企業が低い予算で最大の広告効果を出す傾向に向き始めたことが分かる。

 

KOCは「私域流量」の流れに乗った「低単価」「高効果」が見込めるマーケティング手法として注目を集めることとなった。

 

  • 小紅書でのKOL,KOC活用

 

中国版instagramとも言われる「小紅書」はKOC最高の成長土壌と言われている。

それは小紅書のユーザーは配信者に対しての粘着性が低く、様々な配信者を観る環境にいるから、と言われている。

 

小紅書では1万~10万のフォロワーを抱える配信者をKOCとして定義される事が多く、実際昨年の5149名のプロモーション協力者の内、3/5が1~10万のフォロワーを持つKOCだったことがデータで読み取れている。

 

以下は小紅書の中で行われたプロモーション協力の例で「1万~10万」と「50万~100万」のフォロワーを持つKOL/KOCの中で最もいいねを集めた配信者のデータ比較である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KOLファンの数はKOCの6倍以上ですが、その総読書量はKOCの2倍にすぎず、また価格を見比べるとKOCオファー額はKOLの四分の一となっているのが分かる。

つまり、KOCは低い予算で効果的な購買を促すことが出来るという事が証明されているのだ。

 

では、KOLは意味がないのか。それは一概には言えず、KOLの強みは〝爆発的な拡散力〟と言われている。

KOCにはない爆発的な拡散力をうまく活用している例を次は見てみよう。

 

  • 抖音(Douyin)で行われるKOLとKOCの活用

 

では中国版tiktokである「抖音(Douyin)」ではKOL,KOCはどう活用されているのか。

抖音(Douyin)のようなショートムービーSNSではKOCの活用方法も異なると言われている。

結論から言うと、抖音(Douyin)では数人のKOLで爆発させ多数のKOCで浸透させる方法が成功事例としてあげられる。

 

在童颜机(Tong Yanji 美容用品) のプロモーションでは当時まだ無名だったサービスをまず先に30万人以上のフォロワーを持つKOLにプロモーションを依頼しました。そして、KOL達が認知を充分に拡げた後、ブランド側があらかじめ作成した12の動画を500名の、30万人以下のフォロワーを持つKOCに配布。それぞれが動画にコメントを載せる、または動画を真似たオリジナル動画を作成・投稿を行う事で一般人も更に動画を真似るというムーブメントが起き、3日間の内にトータル87万imp、1万以上のいいねを獲得する成果を出した。

 

この成功例はKOL,KOCの特性を理解し、適切に活用した好例といえる。

最近では広告費の30%をKOL、KOCを70%という振り分けが多いとも言われている。

 

  • KOLとKOCは共存していく

 

上の例でも書いたようにKOLとKOCは活用の特性が全く異なる存在であり、得意なことが違う存在であると言える。

費用対だけを見て、KOLだけ、KOCだけということではなく、今後はKOLとKOCの役割を理解したうえで活用方法を適切に分けるという手法が求められるのだろう。