2019.10.27

中国のWEB上の流行語『种草』文化とは?

 

 

 

 

中国では、「草を植える」「草を抜く」という言葉が、流行りを生み出すなどの意味合いが使われます。流行り廃れ、というニュアンスとして解すべきかと思います。

 

 

「インターネットユーザーは、ボスに時間を費やし、残りの時間はKOLに費やす。」これは、書籍《流量思维已死,内容和互动永生》で述べられた視点である。ここから、KOLマーケティングが非常に勢いを持っているということがわかる。

 また、最近では、KOCという新語が各メディアで権勢を振るっている。KOCKOLはどういった関係性を持っているのだろうか?

 

 

KOCの本質は、KOLと共通している。

ある人物が商品を使用する様子を公開し、人々の購買意欲に影響を与える。これがKOCだ。その人物もまた、商品の消費者である。影響力が次第に拡大し、その人物が各ブランド・ショップの広告塔になった場合、それはKOLである。その人物は、商品の消費者ではなくなるのだ。

KOCにしてもKOLにしても、消費者行動に影響を与えることが目的であることには変わらない。この反響は、植えた草に火を付けて燃え広がるようなものだ。このマーケティング方法で、どれだけ火を付けることができるのだろうか?

 

 

 

 

有名な美容アカウントPONYの微博のフォロワーは772万人に上り、淘宝を始めてから1週間で10万を超えるフォロワーを獲得した。また、オリジナル商品である口紅を販売したところ、2時間で2万本が売れ、一瞬で売り切れとなった。売上高は180万元にのぼった。また、ライブ配信では“口红一哥”の名で知られる李佳琦と、一夜带货一套房薇娅が有名だ。

「植草経済」は勢いを有し、多くの有名ブランドがこのマーケティング手法を取り入れている。“植草”は、新時代の消費主義の象徴となっている。それでは、草に火を付けた後、どのようにすれば燃え広がるのだろうか?

 

 

ユーザー:「育てられた」植草体質

このようなデータがある。68.0%のユーザーが植草を受け入れており、そのうち、植草された商品について、70.7%のユーザーが様々な要素を考慮して購入したいとし、26.2%はそのまま購入してしまうという。消費者の植草体質を形成するには、3つの要素が必要となる。

 まず、ネット時代では、消費者までのルートをできるだけ短縮することだ。数分の間に、草を植え、また草を抜かれるという一連の流れが起こり得るからだ。「買ってみました!」「効果があります!」とインフルエンサーたちが宣伝している間にも、消費者は常に草を植える、草を抜くという行動を繰り返している。デパートなどに買いにいくよりも、ネットで購入し支払い、商品をすぐに受け取れる環境こそが、草がよく育つ肥沃な土壌となるのだ。

 

 

 

 

 

 

次に、消費者は簡単に草を植えることができるという点だ。有名人の宣伝文句を信じ、これは人気商品となると思い込む。

Forbesの調査データによると、買い物をする際、約81%が友達や家族の意見に影響されるという。また、iResearchの調査データでは、95年以降に生まれた若者の41.8%が友人に購入した商品を口コミするという。ここでKOCのきっかけが生まれるのだ。流行を追うことで植草しやすくなり、ネットで話題になった商品、芸能人が使用していた商品だからという理由で、消費者の心を掴むことができる。

また消費者は「これを使えば、あの人みたいになれる」と希望を抱くこともある。なぜあのインスタグラマーの肌はあんなにキレイなのだろう?普段から使用しているものと同じものを使えば、私もあの人みたいになれる!など、自分自身を投影してしまうのだ。

 

 

そして、公式アカウント、ライブ配信に関わらず、KOLには特典情報が付いていることが多い。6月に配信された薇娅とケンタッキーのコラボレーション企画では、3万食分の電子クーポンなどを55%引きの値段で配信したところ、直接来店する顧客数をはるかに上回る商業効果が得られた。その他のKOL商品についても、得点があるなら買いたいと思う消費者意識に訴えることが重要だ。

 

 

ブランド:SNSの断片化の時代、関心を持たせることが鍵だ

「ブランド広告は、1か月以内に6回、消費者の目に触れることが必要だ。それでこそ消費者に印象を与えることができる。」しかし、そのためには多くの費用がかかり、また費用を投入しても浸透しない可能性もあった。

 消費者行動学によれば、消費者は、まず認知することから始まり、感情が生まれ、最後に消費行動に移るという。従来のマーケティングでは、認知してから浸透に至るまで、数日、数か月を要していたのに対し、植草マーケティングでは、短時間で消費者の関心を引くことができ、一瞬で認知、浸透までの流れを完了することができる。化粧品で考えれば、この特徴がわかりやすいのではないだろうか。